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2016年12月27日 (火)

8年ぶりのパリ木の十字架少年合唱団

 

韓国でのコンサート映像です。こんなポップな曲は日本では演奏されませんでしたね。

 

さて12月20日から22日まで、眠れない3日間でした。眠るのが惜しくて、3時間4時間という睡眠で、疲れているのに気持ちが高ぶって休みたくないような、しょうもない子供のような状態に陥りました。

 

原因はパリ木さん、君たちです。毎年来てくれるウィーン少でさえ、目の前に現れればドキドキするのに。8年ぶりですから、なんか本当に空から天使が不時着したくらいの珍しさすらあるのです。

 

来日前にあれこれ気に病んでいたことは、たいした問題でもありませんでした。確かに合唱自体の声質は変わっています。あの天に抜けるような高音は控えめで、兄さんたちの低い声が強い。でもパリ木らしい張りのある声と素晴らしいハーモニーは充分すぎるほど感じられました。

 

コンサートは、12月20日(火) 東京芸術劇場、21日(水)昭和女子大学人見記念講堂、22日(木)横浜みなとみらいホールの3か所で行われました。

 

 

音楽監督/ユーゴ・ギュティエレス

指揮&ピアノ/ヴァンサン・カロン

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グレゴリオ聖歌:キリエ 第11番

 

ペロタン:主を

クープラン:歓喜し、歓声をあげよう

リュリ:神の力

セヴラック:かくも偉大な秘跡

デュリュフレ:グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテットより

     「いつくしみと愛のあるところ」

ギュティエレス:アニュス・デイ~神の子羊~

カッチーニ:アヴェ・マリア

フォーレ:ラシーヌ讃歌 Op.11

グノー:モテット「おお、救い主なるいけにえよ」

J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 第40番

グレゴリオ聖歌:幼子が永遠に生まれた

ショルダヴォワール:ひとりの若い乙女

トラディショナル(ギュティエレス編曲):クリスマスは来たれり

ダカン:クリスマス・カンタータ

グルーバー:きよしこの夜

トラディショナル:神の御子が生まれた

ラモー(ピエールポン編曲):夜の讃歌

トラディショナル:荒野の果てに

リュリ:三人の王の行進

トラディショナル:神の御子は今宵も

サン=サーンス:クリスマス・オラトリオより「いけにえを捧げよ」

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このうち人見記念講堂は学校公演で、一般客は2階席のみが解放されました。プログラムは同じです。しかし一日目の公演後に行われたサイン会で、英語が堪能なファンの一人が若い率直な気持ちと積極的な姿勢で、ぜひこれを歌ってほしいとリクエストを指揮者のユーゴ氏に伝えてくれたのです。素晴らしいことでした。

 

その結果、2日目と3日目のアンコールには、「Musique Universelle」と、「猫の二重唱」が加えられました。「J'entends une chanson」は一日目しか聴けませんでしたが、ソロはなく合唱だったので、あきらめもつきました。

 

少年たちは向かって左のドアからゆっくりと入場しました。一歩2秒くらいの速度は結構遅い。手を後ろに組んで歩く様子は変わらずですね。

 

第1部は紺のセーターと半ズボン、白いハイソックス。等間隔で整然と並ぶ姿は気品とプライドを感じさせます。

 

東京芸術劇場では最初と後半に、ユーゴ先生のパイプオルガン演奏も聞かせてもらえました。正面の奏者席は2階バルコニーぐらいの高さがありそうで、そこ一人座り鍵盤に向かう姿は素敵です。高らかに響く音色は、神々しくさえありました。

 

1曲目は「キリエ11番」 ソフトなハイソプラノのソロで歌われました。

 

オータンのサン・ラザール大聖堂でのミサを思わせるグレゴリオ聖歌。

 

2曲目と同様に、ボーイズの声と兄さんの低音とがオクターブ違う音で共鳴するようです。グレゴリオ聖歌の不思議な響きは、声部の2階構造にあるらしいと解説を読んで思いました。

 

「歓喜し、歓声をあげよう」クープランのこの曲は、WSKでもよく歌われる。明るい喜びに満ちた旋律で、合唱の王道的な調べ。

 

 

リュリの「神の力」は、とても好きでした。フランス語独特の鼻に抜ける音と、韻を踏んだ歌詞の語尾が繰り返され、すごく説得力のある合唱でした。譜面上の強弱とフランス語の発音のニュアンスとの関わりが、他の言語ではなしえない合唱を作り上げます。音を大切にする言語なんですね。

 

 

そのあと、20世紀フランスの曲が続きました。ラテン語なのですが、発音がドイツ語とは違うので、少しソフトな感じですね。「神の子羊」はドイツ語では、アグノス・デイと言いますが、フランス語ではGの音は発音せずに、アニュス・デイとなります。子音のかっちりした音が歌曲の歯切れ良さを生むドイツ語、母音と鼻音とが心地よいフランス語、どちらも好き。しゃべれないけど・・・。

 

前半の宗教音楽は正直いって聖なる歌すぎる印象はありました。合唱は素晴らしいのですが、パリ木の個性は少し控えめです。これはオータンでの聖歌隊としての歌ですね。この場所が教会だったらいいのにと、ふと思いました。

 

会場にもよりますが、聖歌が続く中、イスに寄りかかり下を向いたままのお客さんもいたのです。それが、カッチーニの「アベ・マリア」になった途端、すっと襟を正したようにステージを見直しました。直前の曲が現代曲だったせいもあり、アベマリアの旋律は会場の心を捕えました。

 

基本はアカペラでしたが、これにはピアノ伴奏がありました。コーラスから始まり、ソロはわりと落ちつた声のソプラノ。

 

圧巻は次の「ラシーヌ讃歌」
好きな歌なのでいろいろな演奏をYTで探しましたが、なかなか満足できるものは見つかりませんでした。

 

それが、ここにあった!ここで出会いました。こんなに素晴らしいラシーヌを聴いたことがない。始まりはテナー。それはCD録音や他の合唱団も同じですが、ピアノからフォルテに、その盛り上がりが、音の強弱だけではないの。パリ木の兄さんたちは、クロイツやトマーナのような透明感のあるテナーではなく、もっと地声的で、アルトの色を残した若いテナーです。それが力強く響き、ソプラノとのハーモニーは絶妙で、どこの合唱団でも聴くことのできない歌声が生まれました。本当に素晴らしいラシーヌだった。

 

第1部最後の曲はバッハのヨハネ受難曲からのコラール。パリ木のヨハネを初めて聴きました。受難曲自体、あまり歌っていないのじゃないですか? これまでのパリ木の声だと、高くてきれいな声ですが、ちょっと重さにかけてしまう。兄さんたちの低音部が良いアクセントになっていました。オルガン伴奏も素敵でした。

 

         

 

第2部はクリスマスキャロル。アルバを来て登場しました。

 

曲は伝統的なもの、ポピュラーなもの、いろいろありました。

 

最初は「幼子が生まれた」。クリスマス・ミサの入祭唱だそうですが、おごそかな典型的グレゴリオ聖歌と言えましょう。教会で聴きたい・・・・・。修道僧が歌うような響きでした。

 

フランスのルネサンス期のクリスマスキャロル「ひとりの若い乙女」は美しかったですね。テナーのユニゾンが素敵で、Chœur à voix mixtesとはこれなんだなと納得。公式にもあるように、今のパリ木はソプラノだけのグループとテナー・ソプラノが混声になったグループとがあります。後者はVoix mixte。文字通り混声合唱団です。14~15歳の若いテナーをソプラノと同じ価値観でソロとしても起用します。

 

伝統的なクリスマスキャロルは、素朴できれいなメロディが多いですね。これは、ダカンの「クリスマス・カンタータ」  Knabenchor fstivalの時の動画です。

 

 

私、ひとつひとつちゃんと聴いていたつもりです。でもこうした動画を見ると、もっと耳をすませて、気持ちを集中させて聴けばよかったと思ってしまう。聴き足りなさが残ります。8年ぶりという驚異のスパンは、3日間じゃ解消できない。

 

そして、「きよしこの夜」 ソリストが2人進み出ました。最初はソプラノ、この子の声はパリ木らしい個性があります。1番はフランス語の歌詞、2番はアルトで日本語の歌詞。彼は3日の間に目覚ましく日本語歌詞を自分のものにしていました。変声期でちょっと声が低くなったけれど、まだテナーにはならないみずみずしい歌声です。

 

次は有名な「神の御子が生まれた」 シューコアが左右に分かれてフランス語で歌った思い出が消えない曲です。歌い始めは弾むように、次のパッセージはなめらかに、合唱団によるアレンジの違いは、そのまま合唱団の個性にもつながります。すごく楽しめました。

 

「夜の讃歌」 このタイトルはちょっと違和感がありますね。「ラ・ニュイ」といつものように言いたい。グレゴリオ聖歌ふうに節回しをして歌うようになったのは、2014年ごろからのようですが、新しい動画でもオーソドックスに歌うのがあります。この少年の声は魅力がありますね。

 

名前とともに学年が動画の中に書かれていました。ツアーメンバーが3年4年だとしたら、彼はまだその学年に達していないですね。来日メンバーに彼はいませんでした。

 

 

動画が多くなってしまったので、今日はここまでにします。明日続きを書きます。明日で仕事納めなので、今夜はこれで。

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コメント

1曲1曲、きちんと分析なさっていてさすがです。

3日間パリ木に浸れたのは本当に幸せですね。

1週間前のことなのに、年末とあってか遠い昔の話のようで、こうしてブログを拝読させていただきありがたいです。

私はただただ聴いていました。
リアーサルやったのでしょうね。
音程のブレは素人にはばれない程度で初めての日本で
頑張ってくれ本当に嬉しいです。

日本語の歌詞も1日ごとにうまくなっていくのもパリ木らしいです。

今回の日本での選曲、正解だったと思います。
パリ木らしいパフォーマンスもほしいけれど、あのメンバーでは無理だったのかもしれませんね。
ソプラノがうまく育ってくれることを願うばかりです。


以前はサイン会などなく、最後の曲が終わるとファンが次々と花束や贈り物を持ってきて、前列の少年が受け取っていくとういうスタイルで、
昭和らしいですよね。着物で来る女の子もいてびっくりしましたが。

続きのブログ楽しみにしています。
こうして、パリ木が好きな人と交流できる時代にも感謝しています。

投稿: うさぎのはは | 2016年12月28日 (水) 14時50分

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