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2017年7月 9日 (日)

南アフリカの魂 * ドラケンスバーグ少年合唱団 Drakies!

来日情報を知ってから一年以上待ちましたね。

7月4日みなとみらい横浜、7月5日ミューザ川崎に行ってきました。

ひとつの合唱団の公演とは思えない変化に富んだコンサートでした。合唱団というくくりでいいのかなとも考えます。

ドラケンスバーグ・ボーイズ・クワイア・スクールというボーディングスクールで生活しながら、少年合唱というジャンルで活躍する子たちですが、アフリカ音楽と切り離せない体で表現することと民族楽器の演奏が彼らの真骨頂とも言えます。そこがパフォーマンス集団としての顔。レパートリーはクラシック音楽からポップス、ミュージカル、スタンダードナンバーまで多岐に渡ります。

メンバーを見渡すと、140cmぐらいのちびっこから、180cmの15歳に見えない15歳まで、同じ合唱団のメンバーですか?と聞きたくなる個性あふれる面々で、そのバラバラ感が思わぬところですごい乗算効果をもたらすようです。

ミューザは第一印象でレポにならないの、以下は主に横浜でのことになります。

第1部は、あの青いベストとジャボと言われる独特なレースの胸飾りをつけたユニフォームで登場しました。

コンサートの始まりはモンテベルディの「カンターテ・ドミノ」  いきなりクラシックな宗教曲で、まず「少年合唱団」としての顔を見せてくれました。

しばらくWSKモツァルトコアの世界に浸かりきっていた自分に、ガツンと低音のパンチです。その低音は一言で言えば力強さですが、ここはやはりヨーロッパのマンナーコアを持つ合唱団との違いを感じますね。クロイツの整然とした清らかな低音は泉の底からわき起こるイメージ。テルツの男声はテルツのボーイズと同様に張りのある質感。パリ木は未成熟な若々しい低音。ボニファンテスは大地の堅さと包容力を持つ低音。

それらのどれとも違う、パンチが効いている中に柔軟性があり、ボーイズの声とのすごい同調性を持つんですね。コーラスになると中音の心地よい響きが生まれます。ソプラノとバスが新しい音を生み出してしまうんです。

演奏のあと、2人がマイクを持ち自己紹介。名前がわかる子もいるのですが、兄さんのほうは区別がつきにくい。というか、アフリカの名前は難しくて聞き取れないのです。

とりあえず15歳に見えないのっぽさんの15歳と11歳のちびっこが挨拶してくれました。金髪のちびっこさんが、「創立50周年を迎えた」と言っていました。この合唱団は1967年に創立されたんですね。

次ははたぶん「チャカ」 「祈りのダンス」あたりではないかと思います。聞いたこのない曲で、しかもプログラムが選曲制になっているので、ちょっとわかりにくいんです。

手拍子と腕の振りが素晴らしく整頓されていました。0.1秒のくるいもなく気持ちよくそろっているのです。

ステージの右にはピアノ、左端にはドラムセットといくつかの打楽器が置いておりあります。ベースギターとドラムは演奏者がいて、大小様々な太鼓はメンバーが演奏します。

あっ、Youtubeで見た人がベースを弾いてる・・・と、そんな感じでドラキーズを実感。

打楽器のリズムはラテン的でもあり、もっとネイティブな感じもあり、さすがの演奏です。シンプルにカッコいいんですよ。自然な体のリズムなんでしょうね、楽器に集中しすぎるでもなく、肩の力を抜いても確実なリズムを生み出す才能。

再びMCは、黒人の少年。トイレもきれいですと言って会場の笑いを誘っていました。

次の曲は「アシンボナンガ」 これは確実です。MCで紹介していたので。マンデラ大統領にささげる曲とプログラムでも説明されています。

2014年のハイドンコアを憶えていらっしゃる方があれば、「センゼニナ」を思い浮かべてください。ソリストが歌い、コーラスが遠くから静かに歌いかける、あのアレンジと同じような雰囲気で素晴らしかった。美しい曲ですね。ソリストの2人がグーに握った手を頭上にかかげる姿が鮮烈でした。

ケーズニーカレッジの演奏がありました。ケーズニーにはドラキーズスクールの卒業生も進学しているそうで、縁のあるハイスクールだそうです。

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そのあとがライオンキングから「お前の中で生きている」 He lives in you

これを歌ったのが黒人の少年で本当にいい声でした。これこそドラキーズのボーイズです。前奏ではたぶんカリンバという名前のアフリカの民族楽器が、3人ぐらいで弾かれました。この箱型で指ではじくハープみたいな、ぽつぽつした音が大好きなのです。

ソプラノといってもファルセットではなく、地声のよく通る声(つまりマイケルが子どものころ)で歌い、コーラスと迫力のテナーソロが、他の合唱団では味わえないパフォーマンスでした。そのテナーというかアルトかな?前半はパフォーマンス担当でそれも切れのある動きで素敵でした。

「みなさんたちへのプレゼントです」という紹介で歌われたのが、日本の曲で「紅葉」と「村祭り」  暑い夏に秋の風が吹いたようなプレゼントでしたね。会場は年齢層が高めでもあり、こういった歌は懐かしく喜ばれます。

これまでの歌声とは違い、また宗教曲ともちがう日本の唱歌が、彼らの理解できれいにアレンジされ私たちの耳に届きました。♪松をいろどるカエデやつたは~ からのサビの部分が大人なハーモニーになり、「ああ、このコーラスが聞きたかった~」と、自分一人でハッピーでした。

「村祭り」のような曲は彼ら得意かもしれないと思いました。CD、DVDに日本のわらべ歌で「とう坂 みま坂」という曲が収録されています。日本の人は一般的にはこの歌は知らないと思います。自分も知らなかった。

ずいずいずっころばしみたいな繰り返しで独特なリズム感があり、アレンジも面白いのです。村祭りの、「ドンドンヒャララ」も彼らにとっては、音的に興味深い繰り返しでないかとかってに思いました。

そのあとは世界のヒットポップス
「ユー・アー・ザ・ボイス」  「フェイス」 「キャント・ストップ・ザ・フィーリング」

アニメの「SING」を見た方も多いと思います。こんなラインナップは、ドラキーズの本領発揮というところです。だいたいの振付はあるらしいですが、結局は一人一人が自分のリズム感と個性でアレンジしちゃうんですね。

一番のちびっこは注目でした。隊列からクネクネ踊りながら出てくると、もうのりのりで、あんまり表情豊かなので思わず笑っちゃうほど。隊列が並ぶ位置というのは舞台の後方なのですが、それが手拍子をとりながらどんどん前のほうに出てきます。ミューザの半円形の舞台、所せましという感じで熱気にあふれ返りました。

本当はここでスタンディングしたかったし、彼らもそれを期待していたんじゃないかと思われるのですが、第一部はそこまでする勇気がなかった。そうなんです。日本では目立つことするには、それなりに勇気が必要です。まあ、「ブラボー!」は言いましたけどね。つい声が出てしまった・・・

前日のみなとみらいでは、会場に来ていた団員のママが、自分の息子がソロのときにはひとりで立っていたそうです。南アフリカの人にとっては、自然なこと。いえ、ウィーン少のときだって、会場に来ていた団員のママたちは、かなり大きな(そして素敵な)声で、ヨーデルを歌っていましたし、ステージの演出に対してはっきりと反応していました。それもまた演者に対しての好意の現れではないでしょうか。

鳴り止まぬ拍手の中、彼らは踊りながら舞台そでに去ってゆきました。

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第2部は、まず指揮者のクルーガー氏が次のステージの紹介をしました。「私たちのメッセージを聞いてください」

ストーリー仕立てにしたパフォーマンスでした。ミュージカルではないですが、密猟者が後を絶たないアフリカの動物サイに焦点を当てた保護を訴える内容で、アフリカの音楽がたくさん歌われました。

イントロ「シフメ・アフリカ」 われらはアフリカから来たれり  (ズールー語)

「インゴマ・イェラティ」ジャングルの歌 (ズールー語)

「インカ」はげわし (ズールー語)

「チャント:バイェザ・アバジンゲリ」密猟者が来る (ズールー語)

「ザ・スタンビート/ ザ・ハント」 暴走・狩り 

「ウクソロ・アフリカ」許してくれ アフリカ  (ズールー語)

「イザ・ンゴムソ」 来たれ 明日よ  (コーサ語)

「ブサ・レ・リズヴェ」 この大地を治めよ (コーサ語)

ユニフォームは胸にアフリカの絵が描かれたTシャツで、黒地に蛍光色の黄色が目立ちます。そして青い長靴。これは昨年あたりから来ているユニフォームで、照明によってはすごく舞台映えするそうです。ただ今回はみなとみらいもミューザもクラシック専門ホールなので、複雑な照明はできないんですね。いっそリベラのようにオーチャードホールでも使えれば、かなり照明効果が得られると思います。natalさんから聞いたところでは、もっと照明を工夫したかったらしいです。

ミューザの半円形の舞台は一般的な舞台より高さがなく、観客は舞台との一体感を味わうことができます。舞台を駆け回るメンバーたちは、草原の動物たちも見え、ネイティブな民族にも見え、勿論密猟者に扮することもあるのですが、鳥の声や動物たちの鳴き声なんかも聞こえてくる。夜のとばりが降りたアフリカの草原を連想します。

打楽器をうち続けるメンバーたちのパワーが伝わってきました。

そしてガンブーツダンス! 4人だったかな。5人だったかな。選ばれし兄さんたちの勇壮なダンス。100メートルダッシュのエネルギーを使うそうです。それくらいハードなダンスです。

でも後ろの方ではちびっこたちも踊っているんです。いつか兄さんたちのようになるぞと思っているらしい、今は愛らしいちびっこたち。

ついにスタンディングできました。他にも立ちあがって拍手をされている方もありました。その熱気のなか、美しいピアノの調べ。

「花は咲く」でした。アンコールとしてプログラムには記載のない曲。

きれいでした・・・。涙をぬぐっているお年寄りが私の斜め前にいらした。♪誰かの歌がきこえる~の高音ハーモニーの見事だったこと。あの野太い声を出していた子たちはどこへ行ったの? やわらかく優しげだけど、しっかりと形のあるコーラス。歌い終えると大きな声援があがりました。

そうして、みなとみらいのアンコールと同じで、ショショローザの大合唱。

クルーガー先生の迫力ある声のあと、会場のしょぼい声、メンバーたちの駄目だしポーズ。

もう一度歌うと、今度は大OKの太鼓がなります。脚を右左にと、説明してくれましたが、この歌をご存知ない方も少なくないので、全員が躍っていたわけじゃないけれど、私は嬉しくて嬉しくて踊りましたね。最後は頭上でしっかり両手を結んでエンディングポーズもしましたよ。

続くアフリカ音楽はくるくる回るダンス。回ると言えば、「アマヴォロヴォロ」だけど歌詞が違う感じがしたなあ。まっいいか。なんでもいいわ。
席の間が狭くて回れませんでしたが、あの独特な振りは完コピしているので、「躍らせてもらえて」 本当に嬉しかったです。

MC担当のボーイズは日本語で丁寧にあいさつしてくれました。南アは冬。だから日本はとても暑いですとか、日本の食べ物が好きになりましたとか、きっと本当に彼らが思ったことなのでしょうね。そのたびに会場は笑いました。すっごく可愛い15歳もいれば、クールで20歳ぐらいに見える15歳もいます。11~12歳のチビッコたちはフレンドリーで笑顔を絶やさない。彼らが滞在中、もっと日本を楽しんでくれますように。美味しいものを食べてくれますように。台風は来ませんように。

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コンサート終了後、ロビーにてファンサービスの演奏

音楽に生きる少年たちです。

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コメント

感想を有難うございます。

ちょっと「蛻の殻」状態で、何をどう表現したら良いか分らない。
言えることは・・長年応援して来て本当に良かった。
それだけの実力があり、また声変わりに悲壮感を感じさせない少年合唱団。彼らのソプラノに一瞬の輝き・・なんて存在しないほど、前進している歌声。
とにかく、一生懸命。歌が好き。それだけでも十分私は応援したくなるのですが「歌のレベル」がとても高い。アフリカンなイメージだけでは、きっと理解できない歌声だと思います。
また書きます・・・今日はこれで。

投稿: natal | 2017年7月14日 (金) 02時38分

natalさん ありがとうございました。
ドラキーズは東日本を離れましたが、まだまだ旅の途中です。ファイナルは東京というのが癖になって、どんどん西のほうに離れていく第一グループに戻ってくれ~と呼びかけたくなる日々です。
静と動、生きる力を感じさせるパフォーマンスでした。その力を分けてもらいたくて、また聴きに行こうと思います。


投稿: maa | 2017年7月15日 (土) 00時53分

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